療育事業所さんのホームページを一言で表すと「可愛い」「明るい」「ほのぼの」「優しい」などの言葉が浮かんでくるのではないでしょうか。
子どもが通う事業所なので、当然ホームページも上記のように、子どもらしさや可愛らしさに溢れるデザインになるものと思います。
それ自体は、いいと思うのですが、私はこういったホームページを拝見している中で、「惜しいなあ」と思うことが多々あります。
それは、ホームページのターゲット(ホームページを見る人)を正しく捉えられていないホームページが多いということです。
例えば、療育事業所を開所するにあたって、ホームページを作ることになったとします。
オーナー様自身でサイトを構築されるならまだ自由度は高いのですが、いわゆる制作業者さんにお願いすると上記のような「子どもらしいデザイン」で納品されるでしょう。
「子どもの笑い声が聞こえてくるようなホームページにしました」といった感じです。
もちろん、子どもの事業所なので、それ自体が駄目というわけではありませんが、ホームページの本来の目的を間違えてしまうと、自己満足なホームページになってしまいかねません。
では、療育事業所さんにおけるホームページの目的とはなんでしょうか。
それは、「見込み利用者に、見学に来ていただくこと」ではないでしょうか。
つまり、ホームページは、療育事業所を探している保護者の方に「ここに通わせてみたい!」「うちの子に良さそう!」と思っていただくこと、そして実際に見学申し込み(お問い合わせフォームから、または電話など)をしていただくためのツールである、と言えます。
つまり、保護者の感情を動かせるかどうか(感動)、そして感情を動かした後お問い合わせしていただくという行動につなげられるかどうか(行動変容)が、ホームページを運営する最大のミッションです。
であれば、ホームページの内容が子どもに対してのメリットばかりが書かれているだけだと不十分で、保護者の方の感情を動かす仕掛けがなければなりません。
そのためには、貴所の理念や思いに加え、貴所に通う(我が子を通わせる)ことが、保護者の方にとってどのようなメリットが有るのかといったことについて、しっかりと記載されておく必要があります。
ただしここで注意が一つあります。
「保護者の感情を動かす」というと、「効果的なプログラム」を記載しようと思われるかもしれませんが、それはあまり効果的であるとは言えません。むしろ逆効果にもなりかねません。
また、貴所にある機材や用具などを列挙したからといって、保護者の方の感情は動きません。
中には貴所の遊具を魅力的に感じ、利用してみたいと思う保護者の方もおられるかもしれませんが、遊具や教材がすごいと思って通うことを決める保護者の方は、他に魅力的な教材や遊具を揃えた事業所さんができれば、そちらに移っていってしまうでしょう。
貴所がいいと思って貴所を選んでいるのではなく、貴所の遊具や教材がいいと思って選んでいるだけなので、はっきり言って貴所のファンでもなければ、貴所の理念を見ているわけでもない、ということになります。
これは、スタッフの方の採用でも同じことが言えると思います。
給与を他の事業所さんより高く設定すればするほど応募者は集まりやすいかもしれませんが、給与額を見て集まってきた方は、給与を見て応募しているので、貴所の理念に賛同してくれる保証はありません。
また、他にもっと給与条件がいい事業所さんができれば、簡単にそちらに移ってしまいかねません。
お金でつながっている関係だと、そのご縁はお金で終わってしまうかもしれません。
こういったことと同じで、ホームページも見た目の良さや教材のすごさなどで利用者を確保しようとすると、絶対に長続きしません。
ではホームページはどのような記載や運営をするのがよいのでしょうか。
弊所のホームページを元に、「見学依頼につながるホームページ」の作り方をご紹介します。
①デザインは可愛らしくしなくて良い(むしろ可愛さをあまり出さないほうがよい)
理由は「他事業所様との差別化」です。
上記でもご紹介したように、保護者の方はホームページのデザインで利用を決めたりしません。
あまりにも乱雑なホームページは嫌われるでしょうが、デザインに凝る必要はない、ということです。
「見やすい」「分かりやすい」ということは意識するべきだと思いますが、ある程度きれいにまとまっていればOKです。
他所様が可愛らしいデザインであるなら、そこで戦っても勝てません。
デザイン性よりも、中身で勝負というのが正しい戦略です。
中身にあるホームページとは、「保護者の方の気持ちに訴求する力を持ったホームページ」ということです。
②デザインよりも大切にするべきことは、事業所の「人」が分かること
事業所を選ぶということは、その事業所と契約することですが、それは「契約した事業所さんのスタッフさんと関係性を構築していく」ことになります。
つまり、保護者の方はホームページを読む中で、「この子も私も、ここの先生たちと上手くやっていけるかな」と半ば心配しているわけです。
であれば、まずはその「心配を取り去ってあげること」です。
ホームページを読む中で、「安心できそうなところだ」「信頼できそうなところだ」といった気持ちになっていただくことができれば、そのまま「お問い合わせ」につながるでしょう。
「まあ、また今度でいいか」となるのは、まだ安心感を得られていない、もしくは不安要因がある、ということです。
そのため、ホームページで少しでも不安要因をなくしていただくために、ホームページの中の「人」を感じることができそうな仕掛けを作っておくことがポイントです。
ただし、人を感じることができるといっても、スタッフの顔写真を掲載したから上手くいくというものではありませんので注意が必要です。
例えば弊所は以前は事業所毎にスタッフの顔写真やプロフィール、一言コメントなどを記載していましたが、現在はスタッフ紹介のページは表示させていません。
これによってお問い合わせ数や見学ご希望数が減ったかと言うと、全くそんなことはなく、むしろ見学ご希望は増えています。
このことから分かることは、もちろんスタッフ紹介ページがあったほうが、より安心感につながると思いますが、必須ではないということです。
③保護者にとってのメリットが分かること
「お子さんが自分らしくなれます」「前向きになる気持ちを育てます」などは、療育事業所さんのホームページの文言としては使い古された感のある言葉です。
また私が最も避けるべきと考えている文言は、「お子様の笑顔のために」です。
サービス提供側の思いと、利用者の想いがずれることは、どんな業界でもありますが、療育業界でもしかり。
笑顔であればそれでいい、というようなものではありません。
そもそも、笑顔だからいいというのはほとんど詭弁です。
笑顔でなくても、幸せなこともあるし、笑顔でいても悲しい気持ちであることもあります。
それよりも伝えるべきことは、「保護者の方にとって、貴所の療育がどのようなメリット(良さ)をもたらせるのか」という部分です。
お子さんのために、というのは療育事業所として「当たり前」な話です。
お子さんに自信を持たせてあげ、前向きに歩んでいく勇気を持たせてあげることは、療育事業所であれば当たり前にするべきことです。
ホームページ上で、嬉々として書くようなことではありません。
「子どものために最善を尽くすのは当たり前、その上で保護者の方にも同時にメリットを提供します」といったことを具体的にかつ分かりやすく記載することで、保護者の方は「私(保護者)のことも考えてくれるんだ」と感動されることでしょう。
ただし、一点注意があります。
保護者を大切にする、保護者にもメリットを提供する、というのは、「保護者に媚びる」こととは違います。
ごまをする、ご機嫌を伺う。
そんな必要はありませんし、そんなことを求める保護者なら利用していただかなくても良い、という気持ちを併せて持っておくことが必要です。
なぜなら、保護者に媚びる事業所になってしまうと、スタッフは慢性的に疲弊してしまうからです。
ホームページをご覧になっている保護者の方が、その点を誤解しないように注意したうえで、保護者にとっての貴所のメリットを記載することで、安心してお問い合わせしていただくことにつながっていくと思われます。
以上、保護者の感情を動かし、お問い合わせにつなげていくためのホームページを作成する際のコツについて、ご紹介しました。
ホームページからのお問い合わせが少ないと感じておられるオーナー様は、一度ホームページの文言などを見直してみてはいかがでしょうか。
なお弊所では、療育事業所様のオーナー様向けのサポートサービスも行っております。
すでに運営しているが利用者確保に苦心されている、これから事業所を立ち上げたいと思っているが、どのように人気事業所を作っていけばいいか悩んでいる、といったオーナー様がおられましたら、弊所継続サポートサービスをご検討ください(継続サポートのご利用をご検討中の方には、「事前無料相談」もお受けしております。
また単発相談(90分)も行っております。「一度自社のホームページを見て、改善するところがあれば教えてほしい」といったご相談にも対応させていただきます(こちらは有料サービスです)。
単発相談および継続サポートサービス詳細は、こちらをご覧ください。