【実際の運営者が解説】児童発達支援特化型のメリットと成功ポイント|発達支援ゆずの戦略とモデル例

2024年度の制度改正に伴い、療育事業所の過当競争はより進んだと言えます。

また保護者の療育事業所選びにおいては、単に近隣であるなどから選ぶなどはなく、「どのような療育理念なのか」「何をしてくれる事業所なのか」といったことを主軸に選択するようになってきています。

そんな中だからこそ、「児童発達支援事業所に特化した事業所の開所・運営」は、良い選択肢の一つと言えると思います。


しかし「児童発達支援事業所」を単独で開所することは、特有のメリットと難しさがあります。

なお、弊社は兵庫県神戸市・西宮市でマンツーマンの個別療育に特化した児童発達支援事業所を3事業所運営しており、すべての事業所で満席となっています。また利用率は平均95%〜100%で、見学お問い合わせ数も1事業所あたり年間で25〜30件程度で推移しています。

こういった経験をもとに、今回の記事では、児童発達支援事業所を単独で開所・運営することのメリットや難しさ、弊社の事例、運営のコツなどについて分かりやすく解説します。

これから療育事業所の開設を目指す方や、すでに運営中でお悩みの方々にとって、少しでもお役に立てる内容になれば幸いです。

児童発達支援事業所単独開所のメリット

まず、児童発達支援事業所を単独で開所することで得られるいくつかのメリットをご紹介します。

事業の専門性が際立つ

児童発達支援事業所は、未就学児(小学校に入る前の子ども)を対象にした支援を提供する施設です。

未就学児に特化することで、事業所の専門性が明確になり、他の多機能型事業所との差別化が図れます。保護者にとっても、「子どもの発達課題に特化した支援が受けられる場所」として魅力的に映ります。

ターゲット層への訴求力が高い

事業の内容が明確であればあるほど、保護者に伝わりやすくなります。

例えば、「言葉が遅れている」「体の動きがぎこちない」といった具体的な課題を抱える子どもを支援する施設であると示すことで、該当する家庭からの問い合わせが増える傾向があります。


実際に当事業所を訪れた保護者からは、「子どもが家では椅子に座っていられないが、ここでは落ち着いて座って遊べる」といった声をいただくことがあります。

このように具体的な場面や成果を示すことで、保護者の理解と信頼を得やすくなり、効率的な集客が可能です。

運営管理がシンプル

放課後等デイサービス(学齢期の子どもを対象とした施設)と併設している事業所では、それぞれの対象年齢や支援内容に合わせたプログラム設計が必要です。

一方、児童発達支援事業所のみであれば、未就学児に特化した支援を提供するため、運営管理が比較的簡単です。また、スタッフの研修内容も絞り込みやすく、効率的に運営できます。

児童発達支援事業所単独開所の難しさ

一方で、児童発達支援事業所を単独で運営することにはいくつかの難しさも伴います。

経営リスクの集中

未就学児のみを対象とするため、利用者数が一定数に達しない場合、経営が不安定になる可能性があります。

特に地域によっては、未就学児の人口が少ない場合もあるため、事前の市場調査が欠かせません。

認知度向上の必要性

特化型の強みを活かすためには、地域の保護者に事業所の存在や特長を知ってもらう必要があります。

広報活動や情報発信に力を入れなければ、潜在的な利用者に届かないことがあります。

例えば、地域に密着した方法として、保育園や幼稚園にチラシを配布したり、地域イベントに参加してブースを設けるのも効果的です。また、SNSを活用して事業所の日々の活動や成功事例を発信することで、遠方の保護者にもアプローチできます。

こうした多様な広報手段を組み合わせることで、効率的かつ効果的に認知度を高めることができます。

保護者への情報提供の質が問われる

児童発達支援事業所が提供する支援の価値を、保護者に具体的に伝えるスキルが求められます。

「何が得られるのか」「どう変わるのか」を明確に示すことで、利用者に信頼される事業所になります。

多機能型との違いを明確化する必要性

児童発達支援事業所単独での運営がなぜ有効なのかを説明できるかどうかが重要です。

多機能型の事業所が一般的な中で、その特化型の強みを保護者や自治体に納得してもらうためには説得力が必要です。

弊社の運営方法と成功の秘訣

特化型運営がなぜ効果的なのかを考えると、未就学児という限られた対象に焦点を絞ることで、具体的で質の高い支援が可能になる点が挙げられます。

このアプローチにより、事業所の専門性が際立ち、利用者に対する成果が目に見える形で示しやすくなります。


また、保護者にとっても、特定の課題に特化した支援が受けられる安心感があります。

こうした明確な方向性が利用者との信頼関係を深める鍵となります。

また、弊所は開所以来、チラシ広告を行ったことはなく、相談支援事業所さんや地域の子育て支援センター等にも紹介依頼を行ったことはありません。

開所からブログ記事での発信、その他SNSでの情報発信を行ってきたことで、見学希望者を獲得してきました。

これらのネット戦略は、弊所の療育の特徴を見込み利用者にしっかりと伝えることができるというメリットがあると同時に、一旦掲載された記事や動画は事業所資産として残るため、半永久的に利用者確保を行うことができます。


以下に弊社が行っている取り組みを、いくつかご紹介します。

未就学児の発達課題に特化

お子さん一人ひとりの発達検査を実施し、それぞれのお子さんの発達課題に合ったプログラムを提供しています。

これにより、利用者に対して具体的な成果を示しやすくなっています。

ネットでの情報があふれいている現在、「根拠ある療育を受けたい」「我が子に合った療育を探したい」という利用者ニーズが高まっています。

特に児童発達支援事業において顕著です。

そのため、発達課題を見つけ、手立てを教えてくれる事業所が選ばれやすくなっています。

弊所の見学希望される保護者の特徴としては、子どもの発達を促すことはもちろんのこと、親としての学びも高めたいとご希望される方が多い傾向があります。

情報発信の徹底

ブログ記事やYouTube動画を活用し、保護者に対して事業所の魅力や支援内容を発信しています。

また、自社の紹介のみならず、子どもの発達について、発達障害や発達特性についての一般情報を積極的に発信しています。

この取り組みを通じて、興味を持った保護者からの問い合わせが増加し、見学後の契約率が高まっています。

見学希望は1ルーム平均3〜5件/月で、見学時に契約を決められる確率は約95〜98%です(空き枠と通える日が合わない場合は利用を断念される方もおられますが、これが全体の2〜5%となります)。

つまり、ご見学に来られた時点ですでに弊所への通所を決めておられる方が95%以上ということになりますが、これはSNS等で弊所理念等を十分に理解したうえでご来所されていることによります。

丁寧な見学対応

事業所の見学時には、保護者が抱える不安や疑問に丁寧に対応し、具体的な事例を用いて支援内容を説明しています。

見学にかける時間は、概ね45分ですが、保護者のお悩みによっては1時間におよぶこともあります。

見学は児発管が保護者のお悩みやお子さんの生育歴を聞き取り、また他の療育に通っている場合はその経緯やそこでの取り組みなどをヒヤリングします。

担当者はお子さんといっしょに遊びながら、お子さんの特性や困りごとなどについて簡単な評価を行い、時間の最後に保護者へ伝達します。

この取り組みにより、見学者の多くが利用を決定する流れを構築しています。

保護者支援に注力

見学時のみならず、ご利用時においても常に保護者の方へのフィードバックやお悩み相談を実施する中で、保護者の方に「この事業所さんは安心して任せられる」と感じていただけるような取り組みを事業所スタッフ全体で行っています。

近年保護者の方の療育に求める質や内容は高まってきていますが、同時に「自分が安心できるのかどうか」といった判断基準で事業所選びを行う方も増えつつあります。

このことからも、児童発達支援事業と保護者支援は切っても切れない関係であると言えます。

まとめ

児童発達支援事業所を単独で開所することは、専門性を高め、ターゲット層への訴求力を強化できる一方で、利用者確保や広報活動の工夫が求められるという特徴があります。

弊社の事例を参考に、明確な事業目的を持ち、効果的な情報発信や保護者対応を行うことで、安定した運営が実現可能です。

これから療育事業所を開所しようと考えている方は、ぜひ児童発達支援事業所の単独運営という選択肢を検討してみてください。

弊社のコンサルティングサービス

弊社では、療育事業所オーナー様に寄り添ったコンサルティングサービスを提供しています。実際に事業所を運営してきた経験を活かし、理論だけでなく実践的なノウハウをお届けすることが特徴です。

  • 運営者目線での直接サポート: 実際の運営経験を持つスタッフが、オーナー様の課題や悩みに寄り添いながら、具体的な解決策をご提案します。
  • 人材採用や育成のコツを指南: 人材採用やスタッフ教育、研修の進め方など、現場で培った知識と経験を活かしてアドバイスします。
  • 療育プログラム構築をサポート: 弊所で活用している評価チャートやプログラムをご紹介、スタッフ様向けの研修内容の策定にも対応しています。

大手コンサルティング会社さんとは異なり、「かゆいところに手が届くサポート」をモットーに、オーナー様のニーズに合わせた柔軟な支援を行っています。

特に設立サポートについては、「どこに相談していいか分からない」「どこにも相談できない」お悩みにも寄り添い、具体的な方法をご提案します。

例えば、人材採用の際には、求人票の内容から面接の進め方まで具体的にアドバイスし、適切な人材確保をサポートします。また、スタッフが現場で効果的に実施できるように研修サポートを行うなどを実施しています。

これらのサポートは、実際の運営を経験しているからこそ行えることであり、「弊社の成功も失敗も踏まえた上で、生きたアドバイスをさせていただく」ことができるため、実践で役立つサポートがご提供できていると自負しています。

継続サポートの場合、更新をご希望いただく事業所様が圧倒的に多く、これも当サービスにご納得いただいている証の一つだと考えています。

このように、理論だけでなく実践的なノウハウを共有することで、現場の課題をスムーズに解決できる体制を整えています。

もちろん初めての方でも安心してご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

なお、サービスはすべてオンラインで実施しております(現在サポート中の事業所様も、関東地方から九州地方まで幅広くご利用いただいております)。