
最近、「療育業界もアップデートが必要ですよね」という言葉をよく耳にするようになりました。
たしかに制度も環境も変わり、子どもたちの姿も多様になっています。
けれど現場では、「何から変えたらいいのかわからない」「今の形を崩すのが怖い」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今日は、私自身がこれまでの運営の中で感じてきた「療育をアップデートする」ということの意味を、少しお話ししたいと思います。
新しいことを増やすより、古い考え方を見直す
「アップデート」というと、何か新しい方法やツールを取り入れることを思い浮かべがちです。
けれど本当に大切なのは、古くなった考え方を見直すことかもしれません。
たとえば「苦手なことを練習する」ではなく、「得意なことを使って苦手を補う」という考え方に変えるだけで、子どもとの関わり方がぐっと柔らかくなります。
変化とは、足すことではなく、選び直すこと。アップデートとは、そんな小さな見直しの積み重ねだと思っています。
学び続けるスタッフが、事業所の力になる
制度やマニュアルよりも大切なのは、人です。
弊社では、資格や経験よりも「学び続ける姿勢」を大切にしています。
日々のミーティング(雑談含む)で「この関わり方、どう思う?」「別のやり方もありそうだね」と話し合う。
そんな何気ない会話の積み重ねが、支援の質を高めていくのだと感じます。
立派な研修ももちろん必要ですが、日常の中で立ち止まって考える時間こそが、最も実践的な学びだと思っています。
制度の中だけで完結しない
制度に沿って運営することは大事です。
けれど、それだけで完結してしまうと、療育そのものが小さくまとまってしまうこともあります。
例えば弊社では、オンライン相談で家庭とつながったり、YouTubeやブログで現場の考えを発信したり、学習支援など就学後のサポートにも関わったりと、複数のつながりを持つことを大切にしています。
これは、療育から離れるということではなく、「子どもと家族の生活全体を支える」という原点に立ち戻ることだと思っています。
アップデートの目的は、支援者を楽にすること
「子どものために」と思うあまり、支援者が疲れ切ってしまう場面をよく見ます。
でも、支援者が笑顔でいられなければ、子どもたちも安心できません。
だからアップデートは、支援者自身が楽しく働けるようにするためのものでもあります。
書類の仕組みを見直したり、話し合いの時間を少し増やしたり、小さな工夫の積み重ねで、現場はさらに明るくなります。
それが事業所の文化を作っていくことにもつながります。
変わる勇気が、業界を動かしていく
療育業界は、まじめで誠実な人が多い分、「変える」「変わる」ことに慎重です。
でも、現場の人たちが少しずつ考え方を変えていけば、業界全体も必ず変わっていきます。
大きな改革をする必要はないです。
ミーティングで「今のままでいいのかな?」「他にするべきことがあるのでは?」と、ひとこと投げかけるだけでも、アップデートの一歩です。
現場を俯瞰し、仲間と話し合い、小さな見直しを重ねていくこと。
その積み重ねが、子どもとご家族の未来を少しずつ明るくして行くことにつながると思います。

