
採用が難しい今こそ、「理念」を見直そう
「人が集まらない」「応募が来ない」「せっかく入ったのに、すぐ辞めてしまう…」
そんな悩みを感じたとき、私たちはつい「条件面を見直さなければ」と思いがちです。
けれど、療育や教育の現場で本当に人の心を動かすのは、“条件”ではなく、“理念”だと感じる場面がたくさんあります。
今日は、特に小規模事業所が“理念採用”でこそ成長できる理由をお伝えしたいと思います。
小規模事業所が陥りがちな「即戦力採用」の落とし穴
スタッフの人数が限られている小規模事業所では、「資格を持っていて、すぐ現場実践に入ることができる人」がどうしても求められがちです。
けれど、その人が事業所の理念に共感していなかった場合、どれほどスキルがあっても、価値観のズレがやがて大きくなり、離職だけでなく、場合によっては組織の屋台骨を揺るがしかねない問題につながることもあります。
実際、私たちも「経験者だから安心だと思ったのに、続かなかった」「方針に共感できていると言っていたが、それは『自分のやりたいことを実践したいだけ』だった」といったケースを多く経験してきました。
「技術があるけれど共感がない職員」と、「未経験だけれど職場や利用者と信頼関係を構築できる人」。
組織を支えるのは、どちらでしょうか?
答えは明らかです。
理念採用とは、「わかってくれる人」を選ぶこと
理念採用とは、「理念に共感する人」を迎える採用手法のことです。
資格や経験よりも、「なぜこの仕事を選ぶのか」「何を大切にして働きたいのか」を面接で深く聴き、そこから価値観の一致を探っていく採用スタイルです。
ですが、その前に応募者が理念に共感するためには、私たちが「理念を言葉にして伝えている」必要があります。
ホームページや求人ページ、SNS投稿は、「理念が伝わる場」です。
条件の説明に終始するのではなく、「共感のを生み出す仕掛け」が重要になってきます。
小規模の強みは「理念が浸透しやすい」という利点がある
スタッフの数が少ない小規模事業所では、理念が行動に反映されるスピードも早く、文化が育ちやすい環境があります。
また「理念を浸透させる」のというよりも、「共に理念をつくる」文化を形成しやすいともいえます。
これこそが、小さな組織の強みであり、「小さくても強い事業所」を作ることにつながります。
1人でも理念を体現するスタッフがいれば、その人が「キーパーソン」となり、少しずつ理念が全体に波及していきます。
「ブランド」とは大企業がつくるものではなく、日々の小さな行動が積み重なって育まれるものです。
その視点で考えると、理念採用を行うことは、ブランド力を高めることにもつながり、それが「過当競争が激化しても、悠々と生き残ることができる事業所」を作ることにつながります。
理念採用を実現するための3つの実践
理念採用は「理念さえあればうまくいく」わけではありません。
日常の中に、理念を息づかせる実践と努力が必要です。
ここでは、3つご紹介します。
これらのことは、私たち(弊所)が日々大切にしていることでもあります。
1. 理念を“言葉にする勇気”を持つ
「何を大切にしているか」を曖昧にせず、言葉にして伝えることが第一歩。
迷っても、言葉にしてみる。その繰り返しが、共感を生みます。
2. 理念を発信する場をつくる
ホームページ、SNS、求人ページは「理念を読んでもらう場所」です。
理念が書かれていない求人は、単に「人を入れているだけ」の採用になってしまいます。
3. 理念を共有する時間をつくる
定期的に、ミーティングなどで理念を振り返る機会を持つことで、組織の中に理念が浸透するようになります。
たとえば弊所(発達支援ゆず)では、ルーム責任者との会議、スタッフミーティングなどにおいて、常に「何を目指しているのか」を理念の観点から考える習慣を持つようにしています。
「理念が育てる組織」から、未来が始まる
小規模事業所にとって、「理念採用」は「単なる数合わせ」ではなく「信頼できる仲間を増やし、組織を育てる戦略」にもつながります。
そのためには、まずは想いを言葉にし、それを共有できる人たちと出会いを探すことから始まります。
それはまるで、ロールプレイングゲームの「ドラゴンクエスト」さながらです。
主人公がそれぞれ得意を持った仲間を集め、様々な敵と戦いながら旅を続けていく。
これは、まさに、理念経営そのものです。
御社でもぜひ、理念を語り、共感者を集め、理念経営につなげてみてはいかがでしょうか。
