ADHD特性のある部下に、上司が気をつけたい6つの言葉

こんにちは。株式会社ILLUMINATEの西村です。

管理職や経営者の方とお話ししていると、このようなお悩みを伺うことがあります。

「何度も説明しているのに、同じミスを繰り返してしまう。」

「メモを取っているのに、なぜか忘れてしまう。」

「やる気がないようには見えないのですが、どう関わればいいのか分からない。」


そんなとき、多くの上司が口にする言葉があります。

それが、「前にも言ったよね」です。

もちろん、責めようとしているわけではなく、「同じ失敗を繰り返してほしくない」「成長してほしい」という思いから出てくる言葉だと思います。

しかし、もし背景にADHD特性がある場合、この言葉が改善につながりにくいことがあります。


この記事では、「頑張っているように見えるのに、なぜか結果につながらない」といった部下との関わり方を考える、一つのヒントとして、お読みいただければと思います。

「やる気がない」のではなく、「実行する過程」に難しさがあることがあります

ADHD特性のある方は、「分かっていない」のではなく、「分かっているのに実行すること」に難しさを抱えていることがあります。

例えば、複数の指示を同時に処理したり、優先順位をつけたり、途中で注意を切り替えたりすることが苦手な場合があります。


その結果、「分かっているのにできない」という状態が起こりやすくなります。

すると、上司から見ると、「どうして同じことが繰り返されるのだろう」と感じてしまいます。

しかし、ご本人も困っていることが少なくありません。


ここで大切なのは、「もっと頑張ること」を求めすぎないことです。

「やる気がない」と結論づける前に、「どこでつまずいているのだろう」という視点を持つことが大切だと思います。

上司が無意識に使ってしまう言葉6選

①「前にも言ったよね」

この言葉に悪気はありません。

「同じ失敗を繰り返してほしくない」という思いから出てくる言葉だと思います。

しかし、部下は、「また怒られた」という感覚だけになってしまうことがあります。


大切なのは、今後の工夫を一緒に考えることです。

例えば、「次回、同じことが起きないために、どんな工夫ができそうですか?」という質問に変えてみると、「一緒に考える」ことができ、その結果ミスを減らすことにつながりやすくなります。

②「なんで忘れたの?」

つい言ってしまいますよね。

ですが、本人も、忘れたくて忘れたわけではありません。

そのため、この質問の答えに困ってしまうことがあります。


大切なのは、再発防止策を考えることです。

そのため、「次回忘れないために、何が必要ですか?」と問いかける方が、具体的な行動につながりやすくなります。

③「もっと気をつけて」

「気をつける」と言われても、何をどう改善すれば良いのかが分からないことがあります。

こんな場合は、「何を確認すると良さそうですか?」と具体化して考えさせていくことがポイントです。

④「ちゃんと確認して」

「ちゃんと」の基準は人によって異なります。

上司にとって当たり前のことが、部下には伝わっていないなど、齟齬が生じやすい言葉です。

こういった場合は、少し詳しく「分かっているかも知れないが、念のため」という意味で、例えば、「送信前に、宛先・添付ファイル・日付の3つを確認しましょう」のように、確認する項目を明確にする方が効果的です。

⑤「やる気の問題だ」

もちろん、すべてが発達特性で説明できるわけではありません。

しかし、「頑張っているのに改善しない」場合は、本人の努力以外の要因も考える必要があります。

努力不足という結論を急ぐ前に、仕事の進め方や伝え方を見直してみることも大切です。

⑥「普通はできるよ」

④の「ちゃんと」と同じで、「普通」という基準は人によって異なります。

「普通はこう」と説明するまえに、「普通=このような基準です」と伝えたり、「その人に合った方法を一緒に探す」ことが重要です。

「頑張って」ではなく、「どうすればできるか」を一緒に考える

私たちは、無意識のうちに「頑張ること」を求めてしまいます。

しかし、仕事の抜け漏れは、意識の問題だけで起きているわけではありません。

仕事の整理の仕方や、優先順位づけ、複数の情報を同時に処理する力などが影響していることがあります。


だからこそ、「もっと頑張って」ではなく、「どうすればできるか」を一緒に考えることが大切です。

「なんで忘れたの?」ではなく、「次回忘れないために、どんな工夫ができそうですか?」

「もっと気をつけて」ではなく、「何を確認すると良さそうですか?」

「分かった?」ではなく、「最初に何をしますか?」

このように、行動を具体化する問いかけに変えていくことで、「頑張る」という抽象的な話から、「どうすればできるようになるか」という具体的な話に変わっていきます。


部下を変えようとするほど、お互いが疲弊してしまうことがあります。

「どうして伝わらないのか」と考えるだけではなく、「どうすれば伝わるのか」という視点に少し変えてみることが、職場のコミュニケーションを大きく変えるきっかけになるかもしれません。