児発管が育たない事業所には共通点があります|児発管は「任せる」ものではなく「育てる」ものです

児童発達支援管理責任者(児発管)は、事業所の中心となる存在です。

しかし、多くの事業所から、「なかなか児発管が育たない」という声を耳にします。

「個別支援計画は書けるけれど、保護者対応に自信がない。」
「現場の支援はできるけれど、スタッフをまとめられない。」
「指示を出すことはできても、自分で判断することが苦手。」

このような悩みは決して珍しいものではありません。


一方で、「経験を積めば自然と児発管として成長する」と考えられがちですが、私はそうは思いません。

児発管は、資格を取得したからできる仕事でも、経験年数だけで身につく仕事でもないからです。

子どもを見る力、保護者を支える力、スタッフを育てる力、そして事業所全体を見渡しながら判断する力。そのすべてが求められる役割です。


私は、児発管に最も必要な力は「俯瞰力」だと考えています。

目の前のケースだけではなく、保護者やスタッフ、事業所全体の状況を踏まえながら、「今、何を優先すべきか」を判断する視点です。

だからこそ、児発管が育たない原因を本人の能力だけに求めることはできません。実際には、育ちやすい事業所と育ちにくい事業所には、それぞれ共通点があります。

今回は、現場で児発管育成に携わる中で感じている「児発管が育たない事業所の共通点」についてお伝えします。

児発管に最も求められるのは「俯瞰力」

児発管の仕事というと、個別支援計画の作成やモニタリングを思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、それらは重要な業務です。しかし、それだけが児発管の仕事ではありません。

児発管には、子どもへの支援だけでなく、保護者への支援、スタッフへの助言、多職種との連携、事業所全体の運営など、幅広い役割があります。

担当スタッフが「一人のお子さん」を見る立場だとすれば、児発管は「支援全体」を見る立場です。

例えば、以下のような視点です。

  • 保護者はどのような思いで相談しているのか。
  • 担当スタッフはどこで困っているのか。
  • 他職種の視点を取り入れる必要はないか。
  • 半年後、このお子さんにどのような成長を期待するのか。

このように複数の視点を行き来しながら判断する力が、俯瞰力です。

この視点の違いこそが、児発管の最も児発管である所以だと考えています。

児発管が育たない事業所の共通点

共通点① 児発管を「育てる存在」と考えていない

児発管が育たない事業所では、「資格を取得すれば児発管になれる」と考えてしまう傾向があります。

しかし、資格取得はスタートラインに過ぎません。

見立てを学び、保護者支援を経験し、スタッフへの助言を行い、判断を重ねながら少しずつ児発管へと成長していきます。

つまり、児発管は「任命するもの」ではなく、「育てるもの」です。

一方で、管理者がすべて答えを出してしまうと、自分で判断する力は育ちません。

逆に、「全部任せるから頑張って」と丸投げしてしまえば、不安だけが大きくなります。

育成で大切なのは、「任せること」と「支えること」のバランスです。

共通点② 児発管が「書類担当」になっている

児発管の仕事が、個別支援計画やモニタリングなどの書類作成に偏ってしまう事業所があります。

もちろん書類は重要です。

しかし、書類は支援を形にした「結果」であり、本質ではありません。

本来、児発管が最も時間を使うべきなのは、

  • なぜこの行動が起きているのか。
  • 保護者は何に困っているのか。
  • スタッフはどこで迷っているのか。

これらを整理し、支援の方向性を示すことです。

書類を完成させることが目的になると、支援の質を高めるための判断力は育ちにくくなります。

共通点③ ケース会議が「報告会」になっている

児発管を育てる上で、私はケース会議の質が非常に重要だと考えています。

しかし、多くの事業所では、

「今日はこんな活動をしました。」
「保護者からこんな話がありました。」

という報告だけで終わってしまいます。

本当に話し合うべきなのは、

「なぜ、この行動が起きたのか。」
「どのような発達課題が考えられるのか。」
「次回は何を評価すればよいのか。」

という視点です。

ケース会議は情報共有の場ではなく、見立てを磨き、スタッフを育てる場でもあります。

児発管には、その議論を整理し、支援の方向性を示す役割があります。

共通点④ 児発管がリーダーになれていない

児発管は、支援が上手な人であれば務まる仕事ではありません。

スタッフ一人ひとりを支え、必要な助言を行い、チーム全体を同じ方向へ導く役割があります。

ところが、「みんな仲良く」という雰囲気を優先するあまり、必要な助言や指摘ができなくなることがあります。

リーダーになるとは、厳しく接することではありません。

支援の考え方を共有し、スタッフがより良い支援を行えるよう支えることです。

その役割を担えるようになって初めて、現場から信頼される児発管へと成長していきます。

児発管を育てるために、経営者・管理者ができること

以前、ある児発管から「このケースはどう対応すればよいでしょうか」と相談を受けたことがありました。

私自身は方向性を持っていましたが、すぐには答えを伝えませんでした。

まず、「あなたはどう考えますか」と尋ねました。

最初は戸惑っていましたが、一緒に状況を整理していく中で、自分なりの考えをまとめ、最後は自分の言葉で支援方針を説明できるようになりました。

もし最初から私が答えを伝えていたら、その場の問題は解決したかもしれません。

しかし、「考える力」は育たなかったでしょう。

児発管育成で大切なのは、答えを教えることではありません。

考え方を育てることです。

俯瞰力は、一度の研修で身につくものではありません。

ケースを振り返り、保護者の立場を考え、スタッフの悩みを理解し、多職種の視点を取り入れる。

そうした経験の積み重ねによって少しずつ育っていく力です。

児発管が育つ=事業所の未来が育つ

児発管が育つと、変わるのは一人の職員だけではありません。

支援の質が向上し、保護者との信頼関係が深まり、スタッフ同士が学び合う文化が生まれます。

そして、管理者や代表だけが判断する組織ではなく、それぞれが考え、支え合いながら前に進める組織へと成長していきます。

株式会社ILLUMINATEでは、「支援の質は見立てで決まる」という考えを大切にしています。

そして、その見立てを支え、チーム全体の支援を前に進める存在が児発管です。

だからこそ、私たちは児発管を「書類を作る人」ではなく、「支援の質をつくるリーダー」として育てることを大切にしています。

児発管を育てることは、一人の職員を育てることではありません。

事業所全体の支援の質を高め、5年後、10年後も地域から信頼される事業所をつくること。

その第一歩が、児発管育成にあると私たちは考えています。

児発管の育成をご検討の方へ

株式会社ILLUMINATEでは、児童発達支援管理責任者の「見立てる力」と「現場で判断する力」を育てる伴走サポートを行っています。

評価・見立てから個別支援計画、保護者支援まで、現場で実践できる力を身につけたい方は、ぜひサービスページをご覧ください。