「報連相ができない社員」への指導で見落とされやすいこと

「何度言っても報告がない」
「相談せずに仕事を進めてしまう」
「問題が起きても、一人で抱え込んでしまう」

部下や若手社員を育成する立場にある方なら、このような場面に直面したことがあるかもしれません。

その際、「もっと意識して報告しよう」「何かあればすぐに相談して」と伝えることは必要です。

しかし、何度伝えても行動が変わらない場合、本人の意識だけを問題にしていても改善につながらないことがあります。


株式会社ILLUMINATEでは、児童発達支援の現場で培った「行動の背景を評価する」という視点を、人材育成にも応用しています。

この記事では、「報連相ができない」という結果だけを見るのではなく、その背景に目を向けることで、どのような指導がより効果的になるのかを考えます。

「報連相ができない」は、本当に本人だけの問題なのか

報連相は、仕事を円滑に進めるための基本です。

そのため、報告や相談が遅れる社員を見ると、「責任感が足りない」「社会人としての意識が低い」と感じることがあります。実際に、本人の姿勢を見直す必要があるケースもあるでしょう。

しかし、報連相ができない理由は、それだけではありません。

例えば、次のような背景が考えられます。

  • どの段階で報告すればよいのか分からない
  • どの程度のことなら相談すべきか判断できない
  • 目の前の仕事に集中し、報告を後回しにしてしまう
  • 状況を整理して伝えることが苦手
  • 相談すると能力が低いと思われるのではないかと不安を感じる
  • 過去に報告した際、強く叱責された経験がある

どれも周囲から見れば「報連相ができない」という同じ行動に見えます。しかし、その背景は一人ひとり異なります。


だからこそ、「なぜ報告しないのか」と決めつけるのではなく、「どこでつまずいているのか」を確認することが、人材育成の第一歩になります。

発達支援では、行動の背景を整理して考える

株式会社ILLUMINATEでは児童発達支援事業を運営していますが、この現場では、人の行動だけを見て支援方法を決めることはありません。

例えば、「指示を聞いていないように見える」という場合でも、実際には指示が理解しにくかったり、周囲の刺激が多くて集中できなかったり、不安が強くて行動に移せなかったりすることがあります。

そのため、本人だけを変えようとするのではなく、伝え方や課題の難易度、環境なども含めて整理しながら支援を考えます。


もちろん、発達支援と企業の人材育成は異なることもあります。

しかし、「行動だけで判断せず、その背景を確認する」という考え方は、人材育成にも活かすことができます。


たとえば、社員を評価するときも、「何ができていないか」だけではなく、「なぜ、その行動になっているのか」という視点を持つことで、改善の方向性が見えやすくなります。

「もっと報告して」だけでは改善しにくい理由

「何かあれば報告してください。」

上司としては十分に伝えたつもりでも、部下にとっては判断基準が曖昧な場合があります。

・「何か」とはどの程度なのか。
・「すぐ」とはいつなのか。
・途中経過はどこまで報告すればよいのか。

経験のある社員であれば判断できても、若手社員にはその基準が分かっていないことがあります。

その状態で「もっと報連相を意識して」と伝えても、本人は何を変えればよいのか分かりません。


報連相を改善するには、精神論ではなく、具体的な行動に置き換えて伝えることが重要です。

報連相を個人任せにしない仕組みをつくる

報連相を定着させるためには、本人への指導だけでなく、報告しやすい仕組みを整えることも重要です。

例えば、以下のような方法がお勧めできます。

  • 業務を依頼するときに途中の確認時点を決める
  • 報告が必要な基準を具体的に示す
  • 報告内容の項目を統一する
  • 定期的な確認の機会を設ける
  • チャットなど複数の報告手段を用意する
  • 早めの相談を前向きに評価する

例えば、「完成したら報告してください」ではなく、「15時に一度進捗を確認しましょう」と伝えるだけでも、報告のタイミングは明確になります。

こうした仕組みは、特定の社員だけのためではありません。業務の進め方を標準化することで、チーム全体のコミュニケーションも円滑になります。

まとめ|人を育てる第一歩は、行動の背景を理解すること

報連相ができない社員に対して、注意や指導を行うことは必要です。

しかし、同じ指導を繰り返しても改善しない場合には、本人の意識だけではなく、指示の出し方や報告の基準、職場の環境にも目を向ける必要があります。


ポイントは、「なぜ報告しないのか」だけなく、「どの段階で報告すればよいか理解できているか」「報連相が個人任せになっていないか」といった視点で職場を見直すことで、改善策はより具体的になります。


求める行動を明確にし、その行動を実行しやすい環境や仕組みを整えることも、育成する側の大切な役割です。

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