
「AIで記録や計画書を時短するサービス」が増えていますが、今回お伝えしたいのは、少し違う使い方です。
NotebookLMというAIツールを使って、オーナー自身の頭の中を整理し、「うちの事業所らしさ」や「大事にしたいルール」を言葉にしていきます。
こうして言語化された理念やルールは、そのまま採用のメッセージや評価の基準にもなり、「合う人が集まり、続きやすい職場づくり」につながっていきます。
NotebookLMで「理念づくり」「ルール作り」をしてみるという選択肢
療育事業所のオーナーが、本当は時間をかけたいのに後回しになりがちな仕事の一つが、「事業所としての理念やフィロソフィー、ルールを、きちんと言葉にして揃えること」だと思います。
- 自分の頭の中では、何を大事にしたいかがはっきりしている。
- ホームページやチラシにも、それなりに想いは書いてきた。
- でも、いざスタッフに向けて 「うちらしい判断基準」 を説明しようとすると、言葉が詰まってしまう。
こういったことは、どこの事業所でも起こりやすいと思います。
そこでこれを補完するAIとしてご紹介したいのが、GoogleのAIサービス「NotebookLM」です。
NotebookLMは、本来は「資料をまとめて読み込ませて、要約やアイデア出しに使う」タイプのAIですが、療育事業所オーナーの立場から見ると、もう一つ大きな使い道があります。
それが、すでに自分たちが発信している文章(ホームページやチラシなど)を材料にして、「事業所らしい価値観」や「判断基準」を一度書き出してもらう、という使い方です。
そのお話の前に、NotebookLMを理念づくりに使うメリットを、簡単に整理しておきます。
- ゼロから理念文を考えるのではなく、既存の言葉をもとに「自分の事業所らしさ」を再発見できる。
- 個別支援計画などの機密情報を入れなくても、公開情報だけでかなりの部分が整理できる。
- オーナーの役割は「言葉を紡ぐ人」から「出てきた案の中から選ぶ人」になる。
つまり、NotebookLMは「理念を勝手に考えてくれるAI」ではなく、これまでバラバラに散らばっていた「貴所の言葉や想い」を、一度整理して見せてくれる相手として使うイメージです。
次の章以降では、NotebookLMをどのように活用するのか、について簡単にご紹介します。
NotebookLMって、何ができるツール?

今回ご紹介しているNotebookLMは、ざっくり言うと「自分の資料をまとめて読み込ませて、その内容にもとづいて考えてくれるノート型のAI」です。
NotebookLMでできることのイメージは、このような感じです。
- 事業所のホームページのURL
- PDFのパンフレットやチラシ
- 求人票のデータ など
- 「この事業所が大事にしていそうな考え方を、短い一文で10個挙げてください」
- 「保護者向けに、うちの特徴を分かりやすく説明する文章を作ってください」 など
- ノートの中に資料をためておけるので、「毎回同じ説明文をコピペする」手間がいらない
- 「このノートに入っている情報だけをもとに答えて」と指定できるので、ブレが少ない
今回は、このうちの「自社サイトやチラシを読み込ませる」「そこから『うちらしい価値観』をリストアップしてもらう」という2つの機能だけを使って、事業所理念のたたき台を作る方法をご紹介しています。
STEP①まずは、何をNotebookLMに入れるかを決める
NotebookLMはGoogleアカウントがあれば、無料で利用できます。
まずは、こちらからお持ちのGoogleアカウントでログインしましょう。

上記の状態から、ノートブックを新規作成して、事業所の情報をアップロードしていくイメージです。

上の画像にも書かれているように、アップロードできる資料は、ウェブサイトのURL、YouTube動画のリンク、テキストファイルやPDF、画像ファイル、音声ファイル、動画ファイルなど幅広いです。
NotebookLMを理念づくりに使うとき、最初のポイントは「どんな文章を材料として読ませるか」です。
ここで難しく考えすぎる必要はなく、基本は次の方針で大丈夫です。

最初の段階では、内部資料や子どもの記録、職員の評価シートなどは入れなくて構いません。
むしろ、次のような“対外的な文章”だけに絞った方が、オーナーさんとしても心理的ハードルが下がります。
- 事業所のホームページ
・トップページ
・業所紹介
・サービス紹介のページ など - パンフレットやチラシ(PDFや画像でもOK)
- 求人ページや求人票(「どんなスタッフに来てほしいか」がにじんでいるもの)
これらは、すでに世の中に公開している情報です。
AIに読み込ませても、「新しく外に出す」ことは何も増えないので、セキュリティの面でも安心して使えます。
これらの文章には、オーナーや事業所が「外向きにどう見られたいか」が表れています。
- ホームページ
利用者さんや保護者さんに、どんな事業所だと伝えたいのか。 - パンフレット・チラシ
限られた紙面の中で、何を一番伝えようとしているのか。 - 求人票
一緒に働きたい人に、どんな価値観やスタンスを求めているのか。
バラバラに眺めていると気づきにくいのですが、これらをまとめてNotebookLMに読み込ませることで、「この事業所は、文章のあちこちで、こういう言葉を繰り返し使っている」「こういう価値観を大事にしているように見える」といった共通項を、AI側が拾い上げてくれるようになります。
イメージとしては、こんな流れです。
- NotebookLMで新しい「ノート」を作る。
- そのノートの中に、自社サイトのURL、パンフレットのPDFや画像、求人ページのURL(またはテキスト)
を順番に登録していく。 - 「このノートには、うちの事業所の顔になる文章が入っている」という状態を作る。
ここまでできれば準備完了です。
次の章では、この「ノート」にまとまった自社の情報を読み込ませたうえで、NotebookLMにどんなふうに問いかけると
「うちらしい価値観」や「理念・フィロソフィーの候補」が出てくるのか、具体的な聞き方の例をお伝えしていきます。
STEP②NotebookLMに「うちらしい価値観」を出してもらう
インプットを用意できたら、いよいよNotebookLMに「うちらしい価値観」を言語化してもらうステップです。ここでは、あくまでたたき台を作ってもらうつもりで、肩の力を抜いて使っていきます。
まずは「大事にしていそうな考え方」を10個
ノートに自社サイトやチラシ、求人票を入れた状態で、NotebookLMに対して、こんなふうに聞いてみます。
「このノートに入っている文章を読んで、この事業所が大事にしていそうな考え方を、短い一文で10個挙げてください。」

たとえば、返ってくるのはこんなイメージです。
- 子ども一人ひとりのペースを尊重する
- 保護者と一緒に子どもの成長を見守る
- 子どもが安心して失敗できる環境をつくる
- スタッフが学び続けられる場にする
- 地域に開かれた事業所であり続ける
もちろん、すべてが「その通り!」とは限りません。
ここで大事なのは「合っている・合っていない」をジャッジしながら読むことです。
- 「これはまさに、うちが大事にしていることだな」
- 「これは、言葉としてはきれいだけど、実際にはそこまでできていない」
- 「この視点は抜けていたので、自分から追加したい」
と、赤ペンを入れるように見ていくことで、オーナー自身の中でも軸がはっきりしてきます。

次に、同じノートに対して、もう一歩踏み込んでこう聞いてみます。
「今挙げてもらった考え方を、『子どもへの関わり方』『保護者への関わり方』『スタッフ同士の関わり方』の3つに分類して整理してください。」
こうすると、NotebookLM側で、子ども向けの価値観、保護者対応で大事にしていること、職場づくり・チームワークに関する考え方といった形で、価値観を整理してくれます。
この時点で、オーナーがやることは二つだけです。
- 自分の感覚と照らし合わせて、「残したい言葉」と「削る言葉」を決める
- 似ている内容はまとめて、もう少し自分らしい表現に言い換えてみる
ここまでできれば、「うちらしい価値観リスト」がだいぶ見えてきます。
このリストは、そのまま「理念文」にはなりませんが、理念・フィロソフィー・ルールを作るための素材としては、かなり使える状態になっています。
次のステップでは、
- 大きな方向性として残したいもの → 理念の候補
- 現場で迷ったときの判断軸にしたいもの → フィロソフィーの候補
- 毎日の行動の最低ラインとして決めておきたいもの → ルールの候補
という分け方で、このリストを整理し直していきます。
そこから先の「仕分け」と「言い回しの調整」は、人にしかできない部分です。
NotebookLMには「広く拾ってもらう・並べてもらう」ところまでを任せ、オーナーや管理者は「選ぶ・決める」ことに集中する。
この役割分担を意識しておくと、AIを使った理念づくりが、現実的なものになってきます。
まずは「素材づくり」から
ここまででお伝えしたのは、あくまで「理念・フィロソフィー・ルールをつくるための素材を揃える」ところまでです。
- 自社サイトやチラシなど、すでに外に出している文章をまとめて読み込ませる。
- NotebookLMに「この事業所が大事にしていそうな考え方」を挙げてもらう。
- それを自分の感覚で取捨選択し、「うちらしい価値観リスト」を作る。
ここまでできれば、理念やフィロソフィーを練り直すためのベースは、かなり整ってきます。
この記事では、まず「素材づくり」の部分までをお伝えしました。続きのステップについては、また別の機会にあらためて整理してみたいと思います。
「ここから先は、一人だと進みにくい」と感じたオーナー様へ
NotebookLMを使った「素材づくり」までは、一人でも十分に進められます。一方で、実際にやってみると、次のようなところで止まりやすいと感じています。
- 価値観リストを作ったものの、「どれを理念にして、どれをルールにするか」が決めきれない。
- 自分では良いと思っている言葉が、「スタッフにどう届くか」「現場でどう使えるか」が不安。
- 過去のトラブルや、お局文化・離職の経験も踏まえて、「本当に機能するフィロソフィー」に落とし込みたい。
発達支援ゆずでも、まさにこの部分で何度もつまずきながら、「フィロソフィーの制度化」や「評価・育成の仕組み」を作り直してきました。
同じようなところで悩んでいるオーナーさん向けに、現在、オーナー向け単発相談を行っています。
- NotebookLMで実際に作った「価値観リスト」を一緒にチェック
- あなたの事業所に合った「理念・フィロソフィー・ルール」を構築する
- スタッフへの伝え方・評価や育成への落とし込みを考える
といったところまで、個別の状況に合わせて整理する時間です。
「まずはNotebookLMでSTEP①②までやってみたので、壁打ちをしてほしい」という段階でも、もちろん大丈夫です。
▶ 個別相談の詳細は下記をご参照ください
ご希望の方は、下記からオーナー向けLINEに登録のうえ「NotebookLM相談希望」とメッセージを送っていただくか、お問い合わせフォームの「ご相談内容」のところに「NotebookLM相談希望」とお書き添えください。

