
療育という仕事は、決して一人ではできません。
子ども、保護者、スタッフ、地域…。多くの関わりの中で成り立つものです。
私は長年、療育の現場と経営の両方に関わってきました。
その中で、次第に強くなっていった想いがあります。
「療育業界を楽しい場所にしたい。そのためには、オーナーが『楽しく』療育をできる環境を整えたい。」
今の私が、オーナー支援に力を入れているのは、そのためです。
オーナーの安定が、すべての起点になる
「発達支援ゆず」では、「保護者ファースト」という理念を掲げています。
それは、保護者が安定していることで、子どもへの関わりに余裕が生まれ、発達が引き出されやすくなると考えているからです。
これは事業所にも、まったく同じことが言えます。
オーナーが安定しているからこそ、スタッフが安心して働ける。
そして、スタッフが安心しているからこそ、子どもや保護者への関わりもより安定する。
この良い循環があって初めて、療育という活動は単なる事業ではなく「企業文化」になっていきます。
土台がぐらついていては、どれだけ現場に情熱があっても継続できない。
だから私は、まずはオーナー自身の安定と充実に焦点を当てるようになりました。
私自身が「理念浸透」と「オーナーとしての喜び」を我慢した結果、組織が揺らいだことがある
「スタッフを主役にする」
一見すると理想的に聞こえるこの考え方に、私自身が強く傾倒していた時期がありました。
代表としての意見は控え、現場の判断を尊重することが最善だと信じていました。リーダーに現場を委ね、自分は支える側にまわればいいと考えていたのです。
少し自分の理念と違う方向であっても「主役はスタッフだから」と理念の再伝達は控えました。
期待されたサービスが提供できずに利用者が離脱した事実があっても、「この経験を必ずプラスに変えてくれるだろう」とあえて失敗を見て見ないふりをしました。
しかし、その結果、組織の中には微妙なズレが生まれ始めました。理念が正しく共有されなくなり、現場と経営の間に見えない壁ができていったのです。サービスの質の低下や愚痴が溢れ出しました。
そして最終的には、スタッフと会社の方向性に大きな乖離が生まれました。従業員VS会社の構図にもなり、大量離職にもつながりました。
その背景には、オーナーとしての私が「理念を語ること」、そして「事業づくりの喜びを感じること」を諦めてしまっていた事実があります。
良かれと思って我慢していたことは、「反対に組織を壊す原因」になってしまっていたのです。
この経験を通じて私は痛感しました。
オーナーが自身の理念や想いを明確に掲げ、日々の運営の中で「楽しさ」や「やりがい」を体現していなければ、組織全体は揺らいでしまうことを。
この学びは、今の私の経営の軸にもなっています。
オーナーが「楽しんでいるかどうか」が、組織の空気を決める
オーナーが苦しみながら経営を続けている組織では、どれだけ現場に想いがあっても、どこかに不安や緊張が漂います。
上でも述べたように私も「自分を犠牲にして支えることが正しい」と信じていた時期がありました。
でも今は、はっきりと確信しています。
オーナー自身が「事業を楽しい」と思えているかどうか。そこに使命感と喜びを持っているかどうか。それこそが、組織文化を左右する最大の要素なのです。
オーナーが楽しそうに理念を語り、前向きに挑戦している姿勢は、必ずスタッフに伝播していきます。
「うちの会社って、なんかいいよね」
「この仕事、面白い!」
そんな前向きな雰囲気が育ち、それが「社風」になっていきます。
そしてそれは、もちろん子どもたちや保護者に還元されていくと信じています。
オーナーの楽しさが、組織に伝わり、それが事業所のエネルギーになる。それが、療育という仕事の本質だと思います。
理念は、「誰が語るか」が最も重要
理念は、飾りではありません。
マニュアルに書かれているだけでは、人は動きません。
それを本気で信じ、日々の選択と行動で示す人がいて、はじめて“生きた理念”になります。
その役割を果たせるのは、ほかでもない、オーナー自身です。
誰よりもその事業の原点を知っている人。
「なぜこの事業を始めたのか」「どんな未来をつくりたいのか」を、言葉と態度で語れる人。
それがオーナーであり、理念を語る責任と、療育という仕事の面白さを語る存在です。
だから私は、オーナーを支援したい
私は、オーナーが苦悩している姿も知っています。
コンサルティング活動を通して、理念と現実の間で揺れながら、誰にも相談できず、孤独の中で踏ん張っている姿も見てきました。
「療育って、面白い」
「この仕事、やっぱりやってよかった」
オーナーが、自分らしく理念を語り、楽しみながら経営できる世界をつくること。
それこそが、私がオーナー支援にこだわり続ける理由です。

