人が定着しない事業所が、最初に見直すべき「採用の勘違い」

児童発達支援・放課後等デイサービスの運営について、ここ数年、本当に多くの相談を受けるようになりました。

話を聞いていると、事業所の規模や地域に関係なく、似た悩みが繰り返されています。

人がなかなか集まらない。
ようやく採用できても、1年もたたずに辞めてしまう。
「いい人そうだったのに」という言葉だけが残る。

こうした状況に、心当たりのある方も多いのではないでしょうか。

ただ、これらの問題は、スタッフ個人の資質や努力の問題ではないことがほとんどです。

多くの事業所が、ある共通した「採用の勘違い」を抱えたまま運営を続けています。

「いい人を採れば、うまくいく」という勘違い

採用の場面でよく聞くのが、「感じのいい人だった」「子どもが好きそうだった」という評価です。

もちろん、人柄は大切です。

ですが、現場で起きているのは、こんなズレです。

  • 支援の考え方が合わない。
  • 判断を一人で抱え込み、疲弊してしまう。
  • チームの中で立ち位置が分からなくなってしまう。

結果として、「人としては悪くなかったけれど、続かなかった」という結果を迎えます。

ここで見落とされがちなのは、その人が「その事業所の文化や療育の価値観に合っていたかどうか」という視点です。

人柄の良し悪しと、現場で力を発揮できるかどうかは、必ずしも一致しません。

人手不足のまま採用を進めてしまう怖さ

人が足りない。シフトが回らない。現場が限界を感じている。

こうした状況では、「とにかく来てくれる人」を優先せざるを得なくなります。

その判断自体は必要なことです。

ただ、その応急処置的な採用が、半年後、1年後に別の負担として返ってくることは少なくありません。

具体的には、以下のようなことです。

・教育に時間がかかる。
・既存スタッフの負担が増大する
・チームの空気(雰囲気)が悪くなっていく

そしてまた、「人が定着しない」という状態に戻っていきます。

人材紹介を使っても、うまくいかない理由

人材紹介そのものが悪いわけではありません。

ただ、現場でよく起きているのは、紹介会社と事業所の最終目標のズレです。

紹介会社のゴールは「入職」。
事業所のゴールは「定着と活躍」。

このズレが解消されないままでは、入ってからのフォローがなく、辞めたあとも何も残りません。

結果として、「また同じことを繰り返した」という感覚だけが事業所側に残ります。


ご多分に漏れず、弊社も一度人材紹介会社経由で採用したことがありましたが、ものの見事にミスマッチが起こり、結果離職につながりました(人材紹介の罠について身を持って実感しました)。

見直すべきは「採用条件」より前の部分

人が定着している事業所を見ていると、共通している点があります。

それは、採用条件を語る前に、考え方や価値観が言語化されていることです。

  • どんな支援を大切にしているのか
  • チームで働くとはどういうことか
  • 合わないのは、どんなタイプか

この整理がないまま採用を進めると、どれだけ人を入れても同じことを繰り返します。

「人が辞める」のではなく、「合わない人が入っている」

人が定着しないとき、「うちの事業所は何か問題があるのではないか」と自分たちを責めてしまう方もいます。

でも実際には、「合わない人が、合わない職場に入ってしまった」。それだけのケースがほとんどです。


いわゆるミスマッチの問題です。

これは事業所にとっても、入職者にとっても、不幸なことです。

採用は「選ぶ」だけでなく「選ばせるもの」

これからの採用で大切なのは、できるだけ人を多く集めることや間口を広げることではありません。

最初から、合わない人を減らすこと。
思いや理念をすり合わせること。

これらが最も重要になると思います。

そのために、自社の考え方を分かりやすく明文化し、「それでもここで働きたい人」だけに来てもらう。

そうした姿勢が、結果的に定着につながるものと考えています。